本日開催された「FJ(フードジャーナリスト)会議」のゲストスピーカーは、世界でもっとも知名度が高いといっても過言ではないスターシェフ、アラン・デュカス氏。
会の進行をつとめるにあたって、冒頭「ご結婚おめでとうございます♪」と声をかけたところ(←デュカスさん、最近婚礼の儀をあげたばかりなのです)、照れくさそうな、でも飛びきりうれしそうな笑顔でこたえてくれた。
フランス南西部のシャロス地方に生まれ、おばあちゃんの料理から「ホンモノの食材」を見極める力を養ったというデュカス氏。
その後、ミッシェル・ゲラール、ロジェ・ヴェルジェ、アラン・シャペルといったフランス料理界の重鎮たちに触発され、自らの料理のスタイルを築いていったそう。
転機が訪れたのは、28歳のころ。
命にもかかわる飛行機事故にあい、3度の手術とおよそ1年にも及ぶ入院生活を余儀なくされたことから、どうしたら「厨房の外にいても、自分の創った料理の数々を、クオリティーを落とさず、レストランで提供できるか?」を考えるようになったといいます。
現在、全世界に20以上の高級店を多店舗展開しながらも、シェフとして料理とも向きあうスタンスは、このアクシデントがきっかけで会得したノウハウで実現した、といってもよいでしょう。
1時間半のインタビューでは「食材」「生産者」「エクセランス(究極を極める)」「フランス料理の現状」「グループ・アラン・デュカスの展開」などをテーマにお話いただいたのですが、もっとも熱かったのは「コーヒー」の話。
京都を視察中に「コーヒーが飲みたい」といったら、案内役のコーディネーターに『スターバックス』に連れていかれそうになって「激怒」したとか。
必死に京都の老舗コーヒー店を探し当てて、ひと息ついたエピソードを語ってくれました。
「どうして京都という歴史ある都市に来てまで、スターバックスに入らなければならないのですか???」
それぞれの国、街の伝統、文化に根ざした固有の存在を大切にしたいと考えるこのシェフは、その土地に融合した独自の店をつくることを自分は「第一義」にしていると力説します。
一見、世界進出を促進するグローバリゼーション派にも映るデュカス氏だけれど、掲げているキーワードは真逆の「ローカリゼーション」。
たしかに彼の多くのレストランを思い起こすと、コンセプトもメニューもすべて変え、たとえばベージュならば日本の食材を使い、器にも和のものを積極的に取りいれているように、各国で異なる試みがなされているのです。
レジュメを用意し、話すべきトピックを細かく書きこんで、会議に臨んでくれたデュカス氏。
その几帳面な姿勢からも、彼の完ぺき主義ぶりがうかがえました。
それはきっと、どんな仕事に対しても情熱をもって対峙することの現われ。
やっぱりデュカスという料理人は、大したお方だと思いました。
レストランが生まれる背景を知ると、その場所にいる時間がさらに「特別」になる。
デュカス氏のパッションに触れ、次回彼のお店を訪問するのが、とても愉しみになってきました。
そして、自分もパッションを感じられることしか「やりたくないナア」とも……。
