2007年11月27日

デュカスのパッション

本日開催された「FJ(フードジャーナリスト)会議」のゲストスピーカーは、世界でもっとも知名度が高いといっても過言ではないスターシェフ、アラン・デュカス氏。

会の進行をつとめるにあたって、冒頭「ご結婚おめでとうございます♪」と声をかけたところ(←デュカスさん、最近婚礼の儀をあげたばかりなのです)、照れくさそうな、でも飛びきりうれしそうな笑顔でこたえてくれた。

フランス南西部のシャロス地方に生まれ、おばあちゃんの料理から「ホンモノの食材」を見極める力を養ったというデュカス氏。
その後、ミッシェル・ゲラール、ロジェ・ヴェルジェ、アラン・シャペルといったフランス料理界の重鎮たちに触発され、自らの料理のスタイルを築いていったそう。

転機が訪れたのは、28歳のころ。
命にもかかわる飛行機事故にあい、3度の手術とおよそ1年にも及ぶ入院生活を余儀なくされたことから、どうしたら「厨房の外にいても、自分の創った料理の数々を、クオリティーを落とさず、レストランで提供できるか?」を考えるようになったといいます。
現在、全世界に20以上の高級店を多店舗展開しながらも、シェフとして料理とも向きあうスタンスは、このアクシデントがきっかけで会得したノウハウで実現した、といってもよいでしょう。

1時間半のインタビューでは「食材」「生産者」「エクセランス(究極を極める)」「フランス料理の現状」「グループ・アラン・デュカスの展開」などをテーマにお話いただいたのですが、もっとも熱かったのは「コーヒー」の話。
京都を視察中に「コーヒーが飲みたい」といったら、案内役のコーディネーターに『スターバックス』に連れていかれそうになって「激怒」したとか。
必死に京都の老舗コーヒー店を探し当てて、ひと息ついたエピソードを語ってくれました。

「どうして京都という歴史ある都市に来てまで、スターバックスに入らなければならないのですか???」

それぞれの国、街の伝統、文化に根ざした固有の存在を大切にしたいと考えるこのシェフは、その土地に融合した独自の店をつくることを自分は「第一義」にしていると力説します。
一見、世界進出を促進するグローバリゼーション派にも映るデュカス氏だけれど、掲げているキーワードは真逆の「ローカリゼーション」。
たしかに彼の多くのレストランを思い起こすと、コンセプトもメニューもすべて変え、たとえばベージュならば日本の食材を使い、器にも和のものを積極的に取りいれているように、各国で異なる試みがなされているのです。

レジュメを用意し、話すべきトピックを細かく書きこんで、会議に臨んでくれたデュカス氏。
その几帳面な姿勢からも、彼の完ぺき主義ぶりがうかがえました。
それはきっと、どんな仕事に対しても情熱をもって対峙することの現われ。
やっぱりデュカスという料理人は、大したお方だと思いました。

レストランが生まれる背景を知ると、その場所にいる時間がさらに「特別」になる。
デュカス氏のパッションに触れ、次回彼のお店を訪問するのが、とても愉しみになってきました。
そして、自分もパッションを感じられることしか「やりたくないナア」とも……。

Posted by chidamaki at 23:31│Comments(4)TrackBack(0)この記事をクリップ!

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この記事へのコメント
いやあ、お話を聞いてちょいと食べてみたくなりました。
食わず嫌いはいかんのねえ〜!
Posted by バーバラ@フォアグラ忘年会 at 2007年12月10日 13:18
つくり手の思いを知ると、すこし店をみるときの視点が変わりますネ。
機会があったら、探検しにいってみてください。
Posted by maki at 2007年12月11日 19:08
パッションのある人大好きー。
こういう方と出会ったり仕事が出来るとモチベーションが一気に上がるよね。それを維持できるかどうかがきっと勝負の分かれめなのだろうけど
^^;

Posted by けいこ at 2007年12月12日 12:40
けいこ>まさしく!!!
一瞬は盛り上がれるんだけど、持続がねーーー。

でも、けいこはストイック、継続してるぢゃん!

一瞬、湧きあがるのはただの欲求。
長く持続するのは真の情熱。

なんだそうです(バルザック弁)。
Posted by まき at 2007年12月13日 20:46